今回はいよいよどんどん橋を出発して水路探訪へ出発します。
ささやかな冒険のお供に、数名が集まってくれました。
八幡川にしてみましょう。
はちまんさん(長濱八幡宮)のすぐ向こうが
八幡東の集落ですもんね。
とりあえず今回の目的地は八幡東ということで。
八幡川はどんどん橋から見ると東側から流れてきています。
旧市街の外れ、はちまんさんのところでは、
境内の杜の中を流れているようで川筋が見えません。
その向こうが八幡東の集落。
周辺の比較的新しい住宅地に比べて、
集落は道や屋根の向きがくねくねと、
有機的な形にまとまっているのがわかります。
この集落の中にはどんな水辺があるのでしょう??
そんならさっそく行こうか!
一同/
よろしくお願いしまーす!
なるべく川の近くを歩こうということで、
広い道路ではなく、
川沿いの細い路地を行きます。
人ひとりがやっと通れるくらいの
この細くてしっとりとした感じが妙に落ち着きます。
と、路地を抜けて間もなく
西川さんが急にしゃがみこみました。
ここに橋の名前が書いてあるよ。
一同/
えっ!?
北門前は旧の町名やね、
八幡宮の参道が門前町でここはその北隣の町や。
橋の欄干にはその橋の名前とか、架けられた年とか、
まちを読み解くヒントが記されてることが多いで。
その道路がいつできたかっていうことで
市街地が広がる過程がわかったりもするな。
なるほど、足元注意ですね。
それにしてもこれは気がつきにくい 笑
北門前橋から見た八幡川は、
家並みと石垣の間を縫うようにさらさらと流れていました。
北門前の家並みを抜けるとはちまんさんに到着しました。
境内の杜の中では切り立った石垣ではなく、
緩やかな土手に沿った自然の小川のような流れにかわりました。
前方にはうっそうとした木立があります。
本殿の裏の方までずっと歩いて行けるで。
一同/
えぇ!?
こんなとこがあるなんて知らなかった!
暗がりを奥へ進むと・・・
暑さも忘れるようなさわやかなせせらぎが流れていました。
まちなかとは思えない、山奥の渓谷みたいですね!
涼しいやろう。
夏場は手軽な散歩コースにおすすめやで。
川沿いを散策しながらはちまんさんへお参りもしました。
一同/
こうやって来ると
なんとなく境内がいつもと違う雰囲気に見えてきますね。
たしかに、
参道から入って表から見ているだけでは
味わえない領域に入ってしまいましたもんね。
こっちから舎那院もお参りしよか。
本殿の脇の小道を抜けると
小さな石橋を渡って隣の舎那院の境内につながっています。
舎那院の本堂は元からこの場所にあったんではなくて
八幡宮の本殿のすぐそばから川をこえて移されてきたんや。
たしか、第2次世界大戦の頃に境内整備がされたとか、
その頃の話ですか?
そう。
もっと言うとそれ以前の時代の長濱八幡宮も
今とはまったく違っててな・・・
そこらへんの話はどうしよか?
大いに興味はあるんですけどまたの機会にお願いします。
全部いっぺんに教えていただいても頭がついていけない 笑
笑
舎那院を抜けると間もなく八幡東の旧集落に近づきます。
集落の中心部の八幡川に沿った道を進みます。
道の北側に川が流れているので、
その川に面するお宅の門口には、
一軒ごとに橋が架かっています。
昔ながらの切り石の橋もあれば、
鉄骨やコンクリートの橋、
手すりのあるものやないもの・・・
いろんな橋がずらっと並んだ独特な雰囲気の町並みです。
少し進むと川は道から離れて、
屋敷の間から流れてきていました。
一同/
この角のお家すごいですねー!
隣の屋敷から一部屋だけ、橋で繋がってる!
水辺で気持ち良い部屋でしょうねぇ!
石垣もすごくきれい。
そういえばこの先におもろいとこがあったな。
一同/
それはぜひ連れていてください!
えーとな・・・
こっちや。
細い路地から路地へ、
西川さんは猫のようにスルスルと足をすすめていきます。
ここもええやろ?
あ、ほら。
井戸があるね。
(水にさわってみた)
冷たーい!
こっちに、ほら。
両側の家の庭先に水路があるやろ。
湧き水がこういうところに繋がってるんやな。
それが道に沿った水路に繋がって、
だんだんと幅の広い流れにまとまっていくんやね。
道と水路の重なり方がすごいです!
石垣やら石橋やら
すごく丁寧につくられてるのがわかるわなぁ。
カワニナがいっぱいいますね。
蛍も飛ぶやろうなぁ。
一同/
すごい環境だなー!!
それがこうやって八幡川に注いでいるんですね。
こういう小さい水の流れる体系が村の中にいくつもできてるんやろうな。
一同/
(感心)
話に引きこまれながら路地から路地へ、
ずいぶんいろんなところを歩いてきました。
通りや路地はただまっすぐに伸びるのではなくて、
大小の水の流れと絡み合いながら、
歩いて楽しいリズミカルな曲がり角が
次々とつながっていきます。
出発前に空撮で見た、
くねくねとした道や家の屋根の集合、
その真相はこういうことだったんですね。
あっ!
コアユがたくさん泳いでますよ!
おぉ!おるおる!
この先に小さな堰があるからな、
ここらへんに魚が溜まりやすいんや。
こんな村の中まで、よくご存知ですね!?
このへんは子どもの頃から遊びまわった範囲やでな。
家からずーっと川の中を歩いてきたりもしたで。
むかし堰のところでギギも採った。
一同/
ギギ!?
楽しいでしょうねぇ!!
楽しかったでぇ(笑顔)
よーし、ここや!
たどり着いた目的地は村のほぼ中央にある大きな堰でした。
八幡川の本流が大きくクランクしたところに、
さらに南北二方向から水路が流れ込んで、
縦横の幅は5mほど、
水深のある水場になっていて、
隣接する橋の周辺3箇所から、
水際に下りるカワドが付けられています。
きれいな水の中にはたくさんのコアユが泳ぎまわって、
石垣の陰にはサワガニが何匹も隠れていました。
すごい!
何のために作られた水場なんですか?
川浚えの時の降り口であったり、
集めた土の上げ場としても使われたやろうし、
火事に備えた防火用水でもあったはずやね。
今でも現役で使われてるやろうな。
そこに溝が切ってあるのは何でしょう?
あそこにせき板を入れるんや。
消火に使う時なんかにはせき止めて水かさを増やすんやな。
手前の段になってるあたりまで水を溜めて、
消防ポンプを置いたりするんやろうな。
作業のしやすい高さになるようによく考えられてるやろう。
一同/
よう考えられてますねぇ。
こういう場所はいつ頃からあるんでしょうか?
川を管理したり、防火のための水場は必ず要るものやし、
規模の大小はあるとしてもかなり昔から作られてきたやろな。
ここは昭和天皇の即位を記念してこの立派な形にしたみたいやね。
即位を記念した公共事業ってことですか?
いや、
即位を記念した集落の自主事業として整備されたっていう意味。
公共事業の概念が今とは少し違ってたんやね。
もっと遡って江戸期の藩政時代はまたちゃうしな。
一同/
はぁぁ・・・
まぁ今日のところはこのくらいにしておこか。
また後々いろんな場面が出てくるやろし。
はい、ありがとうございます。
こうやって集落ひとつひとつをじっくり歩いてみるのは
面白いですねぇ!
そやね、次はもう少し上流の集落に行ってみようか!
普段自転車で走り抜ければものの5分ほどの範囲、
飽きることもなくじっくりと歩いて
目に新しい水辺の景色をたくさん見ることができました。
(次回に続く)
「米川」をたどるか「八幡川」をたどるか、
どっちにしようか?