湖北の暮らし案内所 どんどん

2016.10.16
散策のすゝめ

水辺探訪 その2 〜八幡東〜

八幡川を上流へたどり八幡東の集落へ行く

今回はいよいよどんどん橋を出発して水路探訪へ出発します。
ささやかな冒険のお供に、数名が集まってくれました。

どんどん橋を出発して水路探訪へ出発
(写真/冒険のお供)
西川丈雄さん

「米川」をたどるか「八幡川」をたどるか、
どっちにしようか?

竹村 光雄

八幡川にしてみましょう。
はちまんさん(長濱八幡宮)のすぐ向こうが
八幡東の集落ですもんね。
とりあえず今回の目的地は八幡東ということで。

どんどん橋から八幡東の全体像
(空撮/どんどん橋から八幡東の全体像)

八幡川はどんどん橋から見ると東側から流れてきています。

旧市街の外れ、はちまんさんのところでは、
境内の杜の中を流れているようで川筋が見えません。

その向こうが八幡東の集落。
周辺の比較的新しい住宅地に比べて、
集落は道や屋根の向きがくねくねと、
有機的な形にまとまっているのがわかります。

この集落の中にはどんな水辺があるのでしょう??

西川丈雄さん

そんならさっそく行こうか!

一同/
よろしくお願いしまーす!

足元にたくさんの情報あり

ひっそりとした路地
(写真/舗装の剥がれ具合や道端の緑の雰囲気が良いひっそりとした路地。)

なるべく川の近くを歩こうということで、
広い道路ではなく、
川沿いの細い路地を行きます。
人ひとりがやっと通れるくらいの
この細くてしっとりとした感じが妙に落ち着きます。

と、路地を抜けて間もなく
西川さんが急にしゃがみこみました。

西川さんは何かを指差している
(写真/西川さんは何かを指差している)
西川丈雄さん

ここに橋の名前が書いてあるよ。

一同/
えっ!?

北門前橋
(写真/「北門前橋」と書かれていた)
西川丈雄さん

北門前は旧の町名やね、
八幡宮の参道が門前町でここはその北隣の町や。

橋の欄干にはその橋の名前とか、架けられた年とか、
まちを読み解くヒントが記されてることが多いで。
その道路がいつできたかっていうことで
市街地が広がる過程がわかったりもするな。

竹村 光雄

なるほど、足元注意ですね。
それにしてもこれは気がつきにくい 笑

雰囲気のいい垣根と石垣の連
(写真/雰囲気のいい垣根と石垣の連なり)

北門前橋から見た八幡川は、
家並みと石垣の間を縫うようにさらさらと流れていました。

はちまんさんの境内へ

北門前の家並みを抜けるとはちまんさんに到着しました。

参集殿の裏手の流れ
(写真/参集殿の裏手の流れ)

境内の杜の中では切り立った石垣ではなく、
緩やかな土手に沿った自然の小川のような流れにかわりました。

前方にはうっそうとした木立があります。

うっそうとした木立
西川丈雄さん

本殿の裏の方までずっと歩いて行けるで。

一同/
えぇ!?
こんなとこがあるなんて知らなかった!

暗がりを奥へ進むと・・・

せせらぎが流れていた

暑さも忘れるようなさわやかなせせらぎが流れていました。

竹村 光雄

まちなかとは思えない、山奥の渓谷みたいですね!

西川丈雄さん

涼しいやろう。
夏場は手軽な散歩コースにおすすめやで。

川沿いを散策しながらはちまんさんへお参りもしました。

長濱八幡宮本殿
(写真/長濱八幡宮本殿)

一同/
こうやって来ると
なんとなく境内がいつもと違う雰囲気に見えてきますね。

竹村 光雄

たしかに、
参道から入って表から見ているだけでは
味わえない領域に入ってしまいましたもんね。

西川丈雄さん

こっちから舎那院もお参りしよか。

本殿の脇の小道を抜けると
小さな石橋を渡って隣の舎那院の境内につながっています。

緑があふれる舎那院の境内
(写真/ひっそりとして緑があふれる舎那院の境内)
西川丈雄さん

舎那院の本堂は元からこの場所にあったんではなくて
八幡宮の本殿のすぐそばから川をこえて移されてきたんや。

竹村 光雄

たしか、第2次世界大戦の頃に境内整備がされたとか、
その頃の話ですか?

西川丈雄さん

そう。
もっと言うとそれ以前の時代の長濱八幡宮も
今とはまったく違っててな・・・

舎那院の本堂
(写真/舎那院の本堂)
西川丈雄さん

そこらへんの話はどうしよか?

竹村 光雄

大いに興味はあるんですけどまたの機会にお願いします。
全部いっぺんに教えていただいても頭がついていけない 笑

西川丈雄さん

舎那院を抜けると間もなく八幡東の旧集落に近づきます。

集落の中は水路と路地の協奏

道と川に沿った家並み
(写真/道と川に沿った家並み)

集落の中心部の八幡川に沿った道を進みます。
道の北側に川が流れているので、
その川に面するお宅の門口には、
一軒ごとに橋が架かっています。

昔ながらの切り石の橋もあれば、
鉄骨やコンクリートの橋、
手すりのあるものやないもの・・・
いろんな橋がずらっと並んだ独特な雰囲気の町並みです。

橋で繋がってる家

少し進むと川は道から離れて、
屋敷の間から流れてきていました。

一同/
この角のお家すごいですねー!
隣の屋敷から一部屋だけ、橋で繋がってる!

竹村 光雄

水辺で気持ち良い部屋でしょうねぇ!
石垣もすごくきれい。

西川丈雄さん

そういえばこの先におもろいとこがあったな。

一同/
それはぜひ連れていてください!

西川丈雄さん

えーとな・・・
こっちや。

手入れの行き届いた生垣がきれいな路地
(写真/手入れの行き届いた生垣がきれいな路地)

細い路地から路地へ、
西川さんは猫のようにスルスルと足をすすめていきます。

西川丈雄さん

ここもええやろ?

絵本の中のような路地を進む一行
(写真/絵本の中のような路地を進む一行)
西川丈雄さん

あ、ほら。
井戸があるね。

3段の水槽に分かれている
(写真/3段の水槽に分かれていて、一番下の水槽には土のついた野菜があった)
竹村 光雄

(水にさわってみた)
冷たーい!

西川丈雄さん

こっちに、ほら。
両側の家の庭先に水路があるやろ。
湧き水がこういうところに繋がってるんやな。

敷地の間の茂みの中に石積みの水路
(写真/敷地の間の茂みの中に石積みの水路)
西川丈雄さん

それが道に沿った水路に繋がって、
だんだんと幅の広い流れにまとまっていくんやね。

アヤメがきれいに咲いていた
(写真/道が水路をまたいでいるところ アヤメがきれいに咲いていた)
竹村 光雄

道と水路の重なり方がすごいです!

西川丈雄さん

石垣やら石橋やら
すごく丁寧につくられてるのがわかるわなぁ。

竹村 光雄

カワニナがいっぱいいますね。

西川丈雄さん

蛍も飛ぶやろうなぁ。

一同/
すごい環境だなー!!

水路が向かった先が集落の真ん中の八幡川
(写真/水路が向かった先が集落の真ん中の八幡川だった)
竹村 光雄

それがこうやって八幡川に注いでいるんですね。

西川丈雄さん

こういう小さい水の流れる体系が村の中にいくつもできてるんやろうな。

一同/
(感心)

話に引きこまれながら路地から路地へ、
ずいぶんいろんなところを歩いてきました。

通りや路地はただまっすぐに伸びるのではなくて、
大小の水の流れと絡み合いながら、
歩いて楽しいリズミカルな曲がり角が
次々とつながっていきます。
出発前に空撮で見た、
くねくねとした道や家の屋根の集合、
その真相はこういうことだったんですね。

目的地は見たこともないかたちの水辺

竹村 光雄

あっ!
コアユがたくさん泳いでますよ!

西川丈雄さん

おぉ!おるおる!
この先に小さな堰があるからな、
ここらへんに魚が溜まりやすいんや。

群がるコアユ
(写真/群がるコアユ)
竹村 光雄

こんな村の中まで、よくご存知ですね!?

西川丈雄さん

このへんは子どもの頃から遊びまわった範囲やでな。
家からずーっと川の中を歩いてきたりもしたで。
むかし堰のところでギギも採った。

一同/
ギギ!?

竹村 光雄

楽しいでしょうねぇ!!

西川丈雄さん

楽しかったでぇ(笑顔)
よーし、ここや!

村のほぼ中央にある大きな堰

たどり着いた目的地は村のほぼ中央にある大きな堰でした。
八幡川の本流が大きくクランクしたところに、
さらに南北二方向から水路が流れ込んで、
縦横の幅は5mほど、
水深のある水場になっていて、
隣接する橋の周辺3箇所から、
水際に下りるカワドが付けられています。

カワドがいくつもある
(写真/カワドがいくつもあって何人もが同時に利用できそう)

きれいな水の中にはたくさんのコアユが泳ぎまわって、
石垣の陰にはサワガニが何匹も隠れていました。

竹村 光雄

すごい!
何のために作られた水場なんですか?

西川丈雄さん

川浚えの時の降り口であったり、
集めた土の上げ場としても使われたやろうし、
火事に備えた防火用水でもあったはずやね。
今でも現役で使われてるやろうな。

竹村 光雄

そこに溝が切ってあるのは何でしょう?

西川丈雄さん

あそこにせき板を入れるんや。
消火に使う時なんかにはせき止めて水かさを増やすんやな。
手前の段になってるあたりまで水を溜めて、
消防ポンプを置いたりするんやろうな。
作業のしやすい高さになるようによく考えられてるやろう。

堰板用の溝の手前は少し高い段
(写真/堰板用の溝の手前は少し高い段になっていた)

一同/
よう考えられてますねぇ。
こういう場所はいつ頃からあるんでしょうか?

西川丈雄さん

川を管理したり、防火のための水場は必ず要るものやし、
規模の大小はあるとしてもかなり昔から作られてきたやろな。
ここは昭和天皇の即位を記念してこの立派な形にしたみたいやね。

擁壁に「昭和御大典記念」の碑
(写真/擁壁に「昭和御大典記念」の碑があった)
竹村 光雄

即位を記念した公共事業ってことですか?

西川丈雄さん

いや、
即位を記念した集落の自主事業として整備されたっていう意味。
公共事業の概念が今とは少し違ってたんやね。
もっと遡って江戸期の藩政時代はまたちゃうしな。

堰の前で西川さんの話に聞き入る一同
(写真/堰の前で西川さんの話に聞き入る一同)

一同/
はぁぁ・・・

西川丈雄さん

まぁ今日のところはこのくらいにしておこか。
また後々いろんな場面が出てくるやろし。

竹村 光雄

はい、ありがとうございます。
こうやって集落ひとつひとつをじっくり歩いてみるのは
面白いですねぇ!

西川丈雄さん

そやね、次はもう少し上流の集落に行ってみようか!

普段自転車で走り抜ければものの5分ほどの範囲、
飽きることもなくじっくりと歩いて
目に新しい水辺の景色をたくさん見ることができました。

美味しいと評判のおせんべい屋
(写真/帰り道に通った美味しいと評判のおせんべい屋さん)

(次回に続く)


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