長雨が止んで待つこと数日。やや水量が多い笹濁り。
「ちょうどいいくらいじゃないか?」と網を投げ入れてみる。
いたいた!
今年の鮎は「小鮎」とは言えぬほどに大きいのも多い。
少しだけ獲ってきて半分はお隣さんにお裾分け。
もう半分を唐揚げにする。
子供たちも残さず食べられるようにと、腹ワタをとってみたのだがやはりこれでは物足りないと判る。
こんなふうにして2020年の魚の夏がはじまった。
長浜駅前の米川にて。
「小さな水族館」を手がける向田さんたちにもお声掛けして同行した。
大の大人たちの「川ハマり」
つやっつやのカマツカ。
ぎょろっとつぶらな瞳がかわいらしい。
賑やかな通りのすぐそばを流れる長浜のホームリバーだ。
コアユ、ウキゴリ、スジエビ、サワガニ、ヨシノボリ、ビワヒガイ
たくさんの魚たちが棲んでいる。
鮮やかな婚姻色の出たオイカワのオスは一際目凛々しい。
石垣の隙間に潜んでいたのはぷりっと太ったヌマチチブ。
ブラックバスの稚魚も泳いでいた。
小さいけれど立派なバスカラーだ。
8月に入ると本格的な夏空に。
水温も高く穏やかな水辺では家族それぞれに楽しんだ。
宝石のように美しく輝くケタバス。
野趣味あふれるニゴイには親近感を覚える。
釣れた魚は余さず頂く。
庭の野菜も大活躍の美味しい季節だ。
ケタバスの竜田揚げ香味おろし掛け。
大根と生姜のおろしは爽やかだが、いまひとつ物足りない感じ。
ケタバスの竜田揚げオイルソース掛け。
淡白な白身はトマト&バジルソースとよく馴染んだ。
ニゴイはシンプルに食べてみる。
半身は塩焼きに。
なかなかの旨味だ。
もう半身は皮を炙って刺身に。
旨味のある白身が引き締まってこちらも美味しい。
棲んだ朝空に映える霊仙の稜線。
今日はどこで遊ぼうか。
子供たちは獲れるポイントを見つけるのが抜群に上手い。
元気いっぱいで美しい魚体に釘付けに。
鮎はスイカの香りがする。
賛同をえられないことも多いけどそう思う。
カワムツにはいろんな川で出くわした。
いかにも早く泳げそうな身体つきが美しい。
扱いやすい道具を手にしてさらにやる気が出る。
真っ黒な魚体にいくつもの差し色をまとったトウヨシノボリ。
この夏一番印象に残っているのがこの姿。
ビワヒガイ
明治天皇が好まれた美味というがこの夏はついに食べずじまい。
カネヒラのカップル
かなりのビッグサイズだった。
爽やかな色合いのオイカワ/メス
どんどん橋のたもとで釣り上げた。
おどけ顔のシマドジョウは子供たちの人気者。
しばらくわが家の水槽の中で過ごしてくれた。
朝活は獲れないこともあった。
けれど近所の友達を誘って、中年が少年に返るかけがえのない時間。
繰り返し包丁を握って腕を磨いた。
地酒を舐めながら湖魚を「なぶる」至高の時。
大雨で落ちてしまった青トマトとバジルのソース掛け。
「トマトが勿体ないから鮎を取りに行く」という菜魚の逆転現象が起こる。
調子に乗ってプロにも料理を試してもらった。
どんどんでお馴染みの森シェフもネイティブ滋賀人だ。
ケタバスのムニエル
焦がしバターソース掛け
ケタバスとシジミのアクアパッツァ
ゲストを招き、
琵琶湖で楽しく遊んだ一日の終わりにこんな料理を振舞えたらと妄想する。
シェフも自ら実食
今ではほぼ流通していない湖魚だが、旨い。
「今日も魚とりに行こう!」
この言葉でたくさんの風景に出会うことができた。
遠くに竹生島。
好奇心が呼びおこされて大人も存分に楽しむ。
小さい子供はいつも釣果が気になる。
見て楽しく食べて美味しいことを知った。
8月下旬、この夏最後の鮎。
秋は秋で楽しみがあれど、ひとまず2020年の魚の夏はこれにておしまい。