湖北の暮らし案内所 どんどん

2016.10.05
暮らし案内

木之本の七尾邸を訪ねる

9月、少しずつ秋の気配が漂う木之本を訪ねます。

秋の気配が漂う木之本

朝陽を浴びて清々しい地蔵坂には、
ほんのりと金木犀の香りが漂ってきています。
約束の時間までまだ余裕があるので、
しばし散策をすることにします。

酒蔵横の路地

酒蔵横の路地。
板塀や煉瓦の煙突、瓦屋根や松の緑が重なりあって
とても良い雰囲気でした。
この突き当たりが北国街道で、
その向こう、ちょっとだけ見えている門は明楽寺で、
門の向こうは広い境内へと続いています。
北国街道の宿場町として長い歴史のある木之本は
一日かけてゆっくり散策するのも楽しいところです。

山の斜面

屋根並みのすぐ向こうに見えた山の斜面。
こちらもぽつりぽつりと秋の気配が漂っています。

気さくなNanao Pottery

Nanao Pottery

Nanao Potteryは北国街道を地蔵院から50mほど
北へ歩いたところにありました。
雪の多い木之本らしい、
どっしりと低く軒を構えた
伝統的な町家の風情をしっかりと受け継いでいます。

さっそくおじゃましてみます。

七尾佳洋さん
七尾 佳洋さん 北海道・函館市生まれ
好きなもの:哲学、音響
特徴1:理論派でとても几帳面。
特徴2:大胆な物言いをするが優しく気を使う。
七尾うた子さん
七尾 うた子さん 大阪府・高槻市生まれ
好きなもの:料理、本
特徴1:笑顔とユーモアに溢れとても社交的。
特徴2:大胆で直感的な行動力に優れる。
竹村 光雄
聞き手:竹村 光雄 湖北の暮らし案内所 どんどん 店長
好きなもの:生きもの、食べもの
特徴:人の話を聴く努力の最中
竹村 光雄

こんにちはー

七尾うた子さん

どうぞこんにちはー

七尾佳洋さんとうた子さん

気さくに出迎えてくれたこちらが七尾佳洋さんとうた子さん。
ご夫婦揃っての陶芸家です。

竹村 光雄

今日はよろしくお願いします。

七尾うた子さん

こちらこそよろしくお願いします。
えーっと、どうしたらいいですか?

竹村 光雄

そうですね、
まずはこのお宅を案内していただけますか?
さっそくですけどここは、
ギャラリーでしょうか?

ギャラリー兼イベントスペース
七尾うた子さん

そうですね。
ギャラリーといえばギャラリーなんですが、
地元のすてきな方々と色々な催しを開く
イベントスペースにもなっています。
あとそっちの土間の方には
私の好きな本が並べてあったり・・・

お二人の好きな本が陳列されている
竹村 光雄

入り口から盛りだくさんですね(驚)

七尾佳洋さん

かちっと使い方を決めないで
いろんなことに使えるスペースが
あるといいなと思ったんですよ。

七尾うた子さん

こっち(木之本)に越してきて、
すごくいい意味で地元の方のエネルギーに驚いて、
みなさんが気さくに出入りしてくれる空間にしていけたら
いいなっていう感じですね 笑

「まだまだこれから、やりたいことがいっぱいある」
とおっしゃるお二人ですが、
地元木之本の方たちといろんな形でコラボしながら
音楽ライブやら写真展やら、
Nanao Potteryでは毎月のように催しが開かれています。
そして続けざまにどの企画もとても好評で、
毎回のクオリティがとても高いと評判を呼んでいます。
そのあたりはさすが筋金入りの作家夫婦のセンスやこだわりか、
というとそれだけではなくて、
七尾家ご家族のお人柄や、
すーっと気さくに入りやすいお宅の雰囲気など、
合わさってとにかく居心地が良いそう。

今日はそういった催しではなく
お二人の陶芸のお仕事を中心として、
続いて建物の奥へとご案内していただきました。

眠りから覚めた古い町家

七尾佳洋さん

奥もご案内しましょう。

竹村 光雄

お願いします。

長い通り庭が奥へと続く

長い通り庭が奥に続いています。
つきあたりの高窓から差し込んでいる光の雰囲気がなんとも言えません。

もともとこのお家にあった水屋のほかに、
独特のフォルムのベンチや
大小いろいろな表情の竹かごなど、
お二人の長年のコレクションだという
世界各地の生活道具が空間にとてもよく馴染んでいます。

その一番奥に、
シンプルな小型の薪ストーブが据えられています。

シンプルな小型の薪ストーブ
竹村 光雄

このストーブは暖房用ですか?

七尾佳洋さん

暖房+私の仕事の必需品です。

竹村 光雄

陶芸のですか?

七尾佳洋さん

ええ、薪が燃えた後の灰を使って釉薬を作るんです。

竹村 光雄

おぉ、なんとそうですか!

七尾佳洋さん

そこの井戸の水を使って灰を撹拌して、
ほかにも幾つかの材料を調合して作る大事な作業です。

竹村 光雄

ということは井戸も現役なんですね?

井戸の水を使って灰を撹拌
七尾佳洋さん

そうです。
ありがたいことにこの建物は、
形も昔のままで、機能もしっかりと生きてたんですよ。

竹村 光雄

それはラッキーでしたね。
ただしかし、
それを生かせるっていうのは七尾さんたちならではですよね。

七尾佳洋さん

そうですか?

竹村 光雄

たぶん一般的なご家族だったら、
この水場はとても雰囲気がいいけど、
今の暮らしを前提としたら使い勝手は十分ではないでしょうし。

七尾うた子さん

そうかもしれないですね。
うちも生活用の水廻りは新しく別に作っていただいて、
この水場は仕事に重宝してます。

高窓を開ける佳洋さん

<ちょっと風をいれようか、と高窓を開ける佳洋さん。この春先から住み始めた思えないくらい、この家のことをよく理解して馴染んでおられる。>

七尾うた子さん

私たちは何年も引っ越し先の家を探してたんです。
この家に決めたのは、
とにかくこの建物に惹かれたからなんですよ。

七尾佳洋さん

ボロだったけど、
ほんとはなにもしないでそのまま住みたいくらい 笑

七尾うた子さん

けどそうもいかないところは直しつつ、
そのままがいいところはそのままにという感じで。

七尾佳洋さん

この長年働いてきた空間の雰囲気は素敵でしょう?

竹村 光雄

ええ、ほんとですね。
古いだけじゃなくてちゃんと現役で機能するようになって、
建物も喜んでるって言ったら月並みですけど、
清々しい空気が漂ってますね。

七尾うた子さん

私はもともと、
こういう空間に溶け込むような、
味わいとか雰囲気のある器作りがしたいと考えてきたので、
この家に暮らしながら仕事をできることが
ほんとに嬉いんですよ。

七尾佳洋さん

まだまだこれから手を入れなくちゃいけないところも
たくさんありますけどね 笑

土蔵が二棟並ぶ

この水場の奥へ、
さらに進むと土蔵が二棟並んでいて、
そこが佳洋さんとうた子さんそれぞれのお仕事場になっていました。

土蔵の中は仕事場

土蔵も土蔵のまま、ちゃんと生かされてます。
まるで七尾さんたちとの出会いを
待っていた家のような気さえしてきます。

今回はここまで。
次回、佳洋さんの仕事場へ続きます。


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