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まちなかを流れる米川を中心に、親しみやすい川まちづくりをすすめる米川よろず会議。実際に川に入ってフィールドワークをしたり、川のプロフェッショナルから学びを得たり、メンバーや参加者とともに「ウォーカブルな米川」を目指して活動しています。
まだ夏の暑さが続く9月。米川よろず会議メンバー、学生、地域の方々とより良い米川暮らしを実現するための「バーブ工実験会」 を開催しました。
夏は小鮎やホタルの住処、冬は渡り鳥が顔を出す。そんな四季折々に表情を見せる米川は、私たちの暮らしに深く結びつき、日々やすらぎをくれています。そんな魅力的な米川にも悩みがあることを知っていますか?
川のカーブの内側は流れがゆるまり、泥が溜まりやすいという特徴があります。
泥が溜まることで川の水が流れづらくなり、流れる水たちにとって障害に。大雨などで増水すると、泥が原因で水位が上がってしまうことも。まちを縫うようにして流れている米川もカーブがたくさんあり、例外ではありません。
実際、その不安を拭うために川の中に溜まった泥を取り払う工事はいたる所で行われています。しかし、住宅街のど真ん中を流れる小さな米川には、工事のための重機が入っていくことは難しく、泥をスコップで削ろうにも、カチコチでびくともしないのです。
バーブ(barb)とは、辞書によると「矢じり・釣り針の」あご、かかり、戻り、さかとげ」を意味する英単語です。「バーブ工」は、川の流れに対して河岸から上流側に向けて突き出して設置する、高さの低い水制の一種で、流れに運ばれてくる砂を溜めて寄り州を形成することを目的とした河川工法です。
引用:「水辺の小さな自然再生」研究会
想像してみてください。バーブ工も水にとっては障害物。お邪魔なものがあると、それを避けて水が流れます。その時に、水がひとつの場所に集まるので、その部分はグンっと水のスピードが速くなります。
水のスピードが速いと、ゆっくりの時よりも泥を削って一緒に流れてくれます。この水の力を使って、頑固な泥を取り払おう!というわけです。
バーブ工実験をやってみたい!とはりきる学生陣。
どこにバーブ工を設置するか、学生たちが話合った結果、どんどんから少し上流にある日吉神社付近のカーブが選ばれました!ここなら、水路から出てきた水と合流させて、泥だまりを撃退できるのでは?!
まずは専門家の考えは借りず、学生の考えでチャレンジ!
さて、バーブ工を作っていきますよ~!
みんなで土嚢(どのう)をたくさん作って、川に並べていきます。
みんなでシャベルを使って川の砂利を袋詰め!
川を横断するようにして、バーブ工を設置。
バーブ工づくりは、袋の口を川底にして、さらに下流に向けておくことがポイント。
この列をつくるのに15分ほどで完成できました。人数が多いと楽しくスピーディーに仕上がります。
早速、作ったバーブ工の先端部は水の流れが速くなり、泥だまりに向かっていきます。
しかーし!この形には懸念点が・・・。
『雨で流量が大きくなると、バーブ工を超えてきた水で底が掘れてしまうかも』
川の専門家である瀧先生からの重要なアドバイス。
たしかに。底が掘れて川に段差ができ、急に水深が深くなると危険なので、バーブ工をもう少し下流へ移すことになりました。
今度は“上流に向かって”バーブ工を作ります。
バーブ工の先端部が下流へ向かうと流れが速くなり危険なので、上流向きにバーブ工を作っていきます。
考えてみると“バーブ”(さかとげ)と呼ばれる水制なのだから、上流へ向かって作った方が良いのはあたり前です◎
頭と体を使って川の流れを感じとらなければ!
重たい土嚢の移動は大変ですが、さあ、みんな気を立て直して!
さらにバーブ工の効力をより発揮させるため、岸に張った植物の根本をシャベルで切断します。
バーブ工が完成しました!
これで、バーブ工の先端部(図で言うと左側部分)に水が集まり、川の流れに緩急が生まれました!
スピードが速くなった部分は、溜まった泥を少しずつ削ってくれています。実験場所にある水路と、バーブ工からの水流が合流することで、より大きな力が生まれます。落ち葉を流すと、先端部だけすごく速く流れて、緩急が目に見えて面白い!
この日の天候だと、水の量が少ないので水の力は小さく、あまり泥を削っている様子は目には見えませんが、大雨が降って流量が増えると、一気に泥がなくなるでしょう!楽しみ楽しみ。
おっと、しかし、許可なしに川に物を置きっぱなしにすることはできないので、実験後は一旦撤収。1日限りの実験でしたが、大きな重機がなくても水の力に任せて泥だまりが解消できるかもしれないことを、今回の実験で感じることができるとても良い機会でした。
米川よろず会議の活動は、みんなで川をもっと素敵にできる日を夢見てまだまだ続きます♪
さあさあ次は、都市の面から米川について学びますよ〜。
みんなで川の中でわちゃわちゃしていたら、藻がとれて川がリフレッシュされ、河床がフカフカに。
すると、そこに早速鮎が集まって来ました!
川に入った時にシャベルで土を掘り返したり、靴で藻をとったりするだけで、河床が耕され、川の環境は良くなります。
米川に登ってきた鮎は、フカフカの河床の石に産卵するので、バーブ工づくりは、鮎のためにもなっていたんですね。
鮎の産卵シーズンは、だいたい10月〜12月。今年もたくさん産卵して、来年もまた米川に帰ってきてくれるよう、シーズン中、卵がある場所は掘り返したりせず、そっとしておいてくださいね◎
シャベルで川底を掘っていたらかっこいい瓦を発見!
米川にはお茶碗をはじめ、色々な物が落ちているから、川歩きは宝探しみたいで面白いな!
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