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2023.11.21
プロジェクト

バーブ工で「米川の悩み”泥溜まり”を解消できるか!?」実験

米川よろず会議9月の活動内容 その1

バーブ工実験2
(「うわあ、深い!」深い場所に気が付かず、早速服が濡れてしまった・・・!)

まちなかを流れる米川を中心に、親しみやすい川まちづくりをすすめる米川よろず会議。実際に川に入ってフィールドワークをしたり、川のプロフェッショナルから学びを得たり、メンバーや参加者とともに「ウォーカブルな米川」を目指して活動しています。

まだ夏の暑さが続く9月。米川よろず会議メンバー、学生、地域の方々とより良い米川暮らしを実現するための「バーブ工実験会」 を開催しました。

米川の特徴と悩み

バーブ工実験1

夏は小鮎やホタルの住処、冬は渡り鳥が顔を出す。そんな四季折々に表情を見せる米川は、私たちの暮らしに深く結びつき、日々やすらぎをくれています。そんな魅力的な米川にも悩みがあることを知っていますか?

川のカーブの内側は流れがゆるまり、泥が溜まりやすいという特徴があります。 泥が溜まることで川の水が流れづらくなり、流れる水たちにとって障害に。大雨などで増水すると、泥が原因で水位が上がってしまうことも。まちを縫うようにして流れている米川もカーブがたくさんあり、例外ではありません。

実際、その不安を拭うために川の中に溜まった泥を取り払う工事はいたる所で行われています。しかし、住宅街のど真ん中を流れる小さな米川には、工事のための重機が入っていくことは難しく、泥をスコップで削ろうにも、カチコチでびくともしないのです。

泥が取り払えるバーブ工って、どういう仕組み?


自然の力を活かして、川に泥が溜まらなくなる方法はないものか?!

そこで、米川よろず会議で話合い、人力で作れるバーブ工(こう)という水制を川に設置する実験をしよう!となりました。水の流れの強いところ、弱いところをうみだすことで、泥を自然に取り払い、川の自然再生が果たして叶うのでしょうか?!

バーブ工イメージ図
(バーブ工のイメージ図)

バーブ(barb)とは、辞書によると「矢じり・釣り針の」あご、かかり、戻り、さかとげ」を意味する英単語です。「バーブ工」は、川の流れに対して河岸から上流側に向けて突き出して設置する、高さの低い水制の一種で、流れに運ばれてくる砂を溜めて寄り州を形成することを目的とした河川工法です。
引用:「水辺の小さな自然再生」研究会


想像してみてください。バーブ工も水にとっては障害物。お邪魔なものがあると、それを避けて水が流れます。その時に、水がひとつの場所に集まるので、その部分はグンっと水のスピードが速くなります。

水のスピードが速いと、ゆっくりの時よりも泥を削って一緒に流れてくれます。この水の力を使って、頑固な泥を取り払おう!というわけです。

学生たちのつくるバーブ工はうまくいく?!

バーブ工実験14

バーブ工実験をやってみたい!とはりきる学生陣。
どこにバーブ工を設置するか、学生たちが話合った結果、どんどんから少し上流にある日吉神社付近のカーブが選ばれました!ここなら、水路から出てきた水と合流させて、泥だまりを撃退できるのでは?!

バーブ工実験3
(日吉神社付近のカーブと、バーブ工設置場所図その1)

まずは専門家の考えは借りず、学生の考えでチャレンジ!

バーブ工実験その1 この位置で本当にOK?

バーブ工実験4

さて、バーブ工を作っていきますよ~!
みんなで土嚢(どのう)をたくさん作って、川に並べていきます。
みんなでシャベルを使って川の砂利を袋詰め!

バーブ工実験8

川を横断するようにして、バーブ工を設置。
バーブ工づくりは、袋の口を川底にして、さらに下流に向けておくことがポイント。
この列をつくるのに15分ほどで完成できました。人数が多いと楽しくスピーディーに仕上がります。 早速、作ったバーブ工の先端部は水の流れが速くなり、泥だまりに向かっていきます。

バーブ工実験5
(滋賀県立大学の瀧先生。川の専門家です)

しかーし!この形には懸念点が・・・。

『雨で流量が大きくなると、バーブ工を超えてきた水で底が掘れてしまうかも』

川の専門家である瀧先生からの重要なアドバイス。

バーブ工実験7

たしかに。底が掘れて川に段差ができ、急に水深が深くなると危険なので、バーブ工をもう少し下流へ移すことになりました。

バーブ工実験 その2 バーブ工の効果はいかに?!

バーブ工実験9

今度は“上流に向かって”バーブ工を作ります。
バーブ工の先端部が下流へ向かうと流れが速くなり危険なので、上流向きにバーブ工を作っていきます。 考えてみると“バーブ”(さかとげ)と呼ばれる水制なのだから、上流へ向かって作った方が良いのはあたり前です◎
頭と体を使って川の流れを感じとらなければ!

バーブ工実験10

重たい土嚢の移動は大変ですが、さあ、みんな気を立て直して!
さらにバーブ工の効力をより発揮させるため、岸に張った植物の根本をシャベルで切断します。

バーブ工実験11

バーブ工が完成しました!
これで、バーブ工の先端部(図で言うと左側部分)に水が集まり、川の流れに緩急が生まれました!

スピードが速くなった部分は、溜まった泥を少しずつ削ってくれています。実験場所にある水路と、バーブ工からの水流が合流することで、より大きな力が生まれます。落ち葉を流すと、先端部だけすごく速く流れて、緩急が目に見えて面白い!

バーブ工実験17

この日の天候だと、水の量が少ないので水の力は小さく、あまり泥を削っている様子は目には見えませんが、大雨が降って流量が増えると、一気に泥がなくなるでしょう!楽しみ楽しみ。

おっと、しかし、許可なしに川に物を置きっぱなしにすることはできないので、実験後は一旦撤収。1日限りの実験でしたが、大きな重機がなくても水の力に任せて泥だまりが解消できるかもしれないことを、今回の実験で感じることができるとても良い機会でした。

米川よろず会議の活動は、みんなで川をもっと素敵にできる日を夢見てまだまだ続きます♪
さあさあ次は、都市の面から米川について学びますよ〜。

余談:川に入ると川がきれいになるのはなんで?!

バーブ工実験

みんなで川の中でわちゃわちゃしていたら、藻がとれて川がリフレッシュされ、河床がフカフカに。
すると、そこに早速鮎が集まって来ました!
川に入った時にシャベルで土を掘り返したり、靴で藻をとったりするだけで、河床が耕され、川の環境は良くなります。

米川に登ってきた鮎は、フカフカの河床の石に産卵するので、バーブ工づくりは、鮎のためにもなっていたんですね。
鮎の産卵シーズンは、だいたい10月〜12月。今年もたくさん産卵して、来年もまた米川に帰ってきてくれるよう、シーズン中、卵がある場所は掘り返したりせず、そっとしておいてくださいね◎

バーブ工実験12

シャベルで川底を掘っていたらかっこいい瓦を発見!
米川にはお茶碗をはじめ、色々な物が落ちているから、川歩きは宝探しみたいで面白いな!

やすださん
この記事を書いた人
安田希亜良 / 米川よろず会議・編集部員
滋賀県立大学院1年生。大阪の高槻からがんばって通学。
水辺が好き。どんどんみたいな素敵な水辺のカフェが米川中にできるといいな。 体が喜ぶ食べ物も好きなので、長浜の発酵食品をたくさん食べて、腸活がしたいです!

関 連 記 事

●レポート/水になって文化や歴史を学ぶ、姉川流域すごろくの試遊会

●参加者募集/第19回『小さな自然再生』研修会

●たくさんの子供と大人が繋がる川!ひんや~りアツ~い米川まつり!

●レポート/長浜の自然、歴史、文化にふれた、米川生き物キャンプ(後編)

●レポート/作って、見て、食べて、知って!1泊2日の米川生き物キャンプ

●参加者募集!/米川生き物キャンプ

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