湖北の暮らし案内所 どんどん

表現者を育てるプラットフォーム・ナガハマアートラボ

2019.07.18
暮らし案内
アートラボ松野さん
(アートラボの代表・松野智樹さん)

今年のゴールデンウィークに[a moment]という展覧会を開いてくれた絵画教室Nagahama art labo。
この展覧会をきっかけに芸術関連でまた長浜で活躍するプレイヤーとの繋がりができ、早速この8月に『水辺の小さな芸術祭“ひらひら”』という共同プロジェクトを行います。
今回は、ひらひら展を一緒に考えてくれたナガハマアートラボの代表・松野智樹さんにお会いしに行ってきました。

― Profile ―

アートラボ松野さんプロフィール
松野 智樹 / Nagahama Art Labo代表  滋賀県長浜市にある古民家を改装したアトリエの代表。 「価値観を生み出し、それを認め合うことが、何気ない日常の中に溶け込んでいくように」をコンセプトに芸術の持つ魅力を定まった形に固定しない事を意識しつつ、作家の作品制作、絵画教室、展覧会やワークショップなどの企画、アート作品制作・販売、などを行う。
ミカミ ふきだし
聞き手:ミカミ ユキ 湖北の暮らし案内所どんどん スタッフ
WEB・SNSN関連の更新を担当をしながら どんどんでのんびり珈琲をいれている。
インタビュー取材は、絶賛修行中。

nagahama-art-labo-(外観)
(古民家をリノベーションした絵画教室Nagahama Art Labo)

ナガハマアートラボ(以下:アートラボ)は、長浜駅からは徒歩5分ほどのところ、朝日町というエリアにあります。 今年で5年目を迎えるアートラボ。こちらの古民家に絵画教室を移転されたのは今から3年前のことだそうです。
玄関の引き戸がおしゃれな立派な古民家です。早速中へお邪魔しましょう!


ミカミ ふきだし

こんにちは~

松野さんふきだし

こんにちは!

ミカミ ふきだし

今日はどうぞよろしくお願いします!

早速ですが、絵画教室をはじめたきっかけを教えてもらえますか?

nagahama-art-labo-(77)

芸術が好きな人が集まって、制作が出来て、興味を持った人が来たときに何かのきっかけになれるような、そういうコミュニティのプラットフォームがほしいと思って。



松野さんふきだし

興味があっても何からして良いか分からん人がほとんどなので。最初のきっかけにもなれる場所として絵画教室が一番適切かなってことで、絵画教室になりました。

ミカミ ふきだし

教室にしちゃうと、松野さん自身の制作時間が減るのでは??

松野さんふきだし

生徒と一緒に作ってます。

ミカミ ふきだし

松野さんが主に描かれるのは『油彩』ですか?

松野さんふきだし

いろいろですね。油彩もするし、このギターも最新作。

ミカミ ふきだし

え!ギター??こ、これは・・・

ギター
(作業用テーブルの横に静かに鎮座するかっこいいギターを発見!)


松野さんふきだし

『コラージュ』という技法で、好きな雑誌の切り抜きとかを切り貼りして、その上に絵の具をだーっと塗ってならして・・・ほんでネックの部分はその形に切って・・・

ミカミ ふきだし

え?!ギターがキャンバス・・・じゃなくって、ギターそのもの作ったんですか??

松野さんふきだし

業者におおまかな形のものがあるのよ。そこから、好きな形に切り出して、弦を張ったり配線の半田付けしたりは自分でやりました。

ミカミ ふきだし

ボディ部分だけやと思ってた。音は・・・?

松野さんふきだし

もちろんでます★いいでしょ~。

ミカミ ふきだし

あらゆるものがキャンバスなんですね。

nagahama-art-labo-(★25)
(海外の雑誌などを切り貼りするコラージュという方法で作られているギターのボディ部分)


松野さんふきだし

そうなんです。何に描いても良いんですよ。ギターのコラージュはいつかやろうと思ってて。
岐阜から子どもさんと一緒に教室に来てるお父さんがいるんですけど、『おれも何か作れない?』ってことで、そのお父さんギター弾かはる人やったから、『じゃあ一緒ギターつくります?』って言ったんです。
先に僕が作って、今お父さんは白地に塗るところまでできてはるんですよ。

ミカミ ふきだし

すごい・・・。わたしのイメージしている絵画教室って、こういった制作をしているイメージじゃなかったです。もっとこう・・・受験用のデッサンバリバリ描いてる人がたくさんいるのを想像してました。

内観
(アートラボの内観。いろんな資料や材料が置かれ、ものづくりする人にはとても居心地の良い空間)


松野さんふきだし

そうですよね。(笑)そう、古典的な絵画だけじゃなくって。もっと現代アート寄りというか、やりたいと思ったらなんでもしますよ。


現在アートラボに通う生徒は全員で90名。
そのうちの7割以上が中学生から未就学の子たち。高校生から一般の方も20名程来られている。
開業当初は今よりもっと生徒数も少なかったそうですが、通っている方々の口コミでみるみる人数が増え、 今ではこの大人数を松野さんがひとりで教えられています。


教室
(教室の1階。古民家の温もりがある部屋に制作中の作品が置かれている。)


ミカミ ふきだし

未経験の方もいらっしゃる?

松野さんふきだし

いますよ。ほぼそうです。

ミカミ ふきだし

そういう方は、描きたいイメージがある方が来られる場合が多いと思うんですが、そうするとみんなばらばらじゃないですか?

松野さんふきだし

そう、ばらばら。自由度が高すぎて。(笑) 何から手を着けようってならないように、もう少し手助けができるカリキュラムに作り直そうと思っているところです。

ちなみにアートラボの教室では、どんなことされてるんですか?

内観2
(置いてある作品がどれもカッコイイ!)


絵画教室の授業って基本分けていくと、趣味、受験、成長期〜幼少期の教育・・・
という感じなんですけど

松野さんふきだし

中学生までは、ものづくりを通して、新しい価値観や想像力発想力を得られるように、教育として人間的にも自立していく段階をサポートしつつ進めてます。なので、野外にも出来るだけ連れ出して、開放感ある制作も行います。

松野さんふきだし

高校生には、将来像をぼんやりイメージして貰いつつ、制作物を完成させる責任というのがプラスされます。
一般の方は、日常の中に非日常の体験を組み込む事で得られる豊かさであったり、自分を表現する手段としての絵であったり、目的を作る事がまず大事にしています。

松野さんふきだし

何にせよ、基本、絵を描くだけって事は少ないですね。


体験
(みんなで協力してプリントを刷り上げる生徒達。)


松野さんふきだし

例えば、小学生クラスはみんな一緒に今回はコレを作ってみましょうって感じでお題を決めて取り組んでます。画用紙に絵を描く事もあれば、グループワークでパズル制作。今回の企画に出す作品用にTシャツをシルクスクリーンで作ることもあります。

内観3

松野さんふきだし

受験のクラスもあるんですが、そもそも僕は受験の試験内容そのものがもう古いと思ってる派で。これからは、きっとテクニック面はもっと抑えられて、別の面を見れるようになっていくかなぁと思うんです。

ミカミ ふきだし

表現の仕方とか発想とかってことですか?

松野さんふきだし

そうですね。・・・そもそも僕は大学に受かることよりも、もっとその先『生き残れる子』であって欲しいと思っていて。
こういうアトリエに通うことは、本格的に学び始める最初の段階なわけで。そこで大学の入試傾向とか対策がどうとかばかりになるのはつまらないなと。なんで、受験が目的でもあれこれやらせます。
10代なんて価値観広げ放題ですから。いろんなことを知っていったほうが良い。


えんぴつ

ミカミ ふきだし

本人に描き続けられる力がついて、モチベーションをどう持続させるか。この先『どうなりたいか』を描けることが大事な部分ですよね。

松野さんふきだし

みんな一緒だと描けても、1人になった途端描けなくなることもある。結局は『自分で生き方を作っていかなあかん』を教えられてない状態で社会に出ても、何していいかわからなくなってしまう。大学卒業後、僕もそうやったからね。

ただ学校は、友達とかみんなで影響を与え合いながら作品の精度を高め合うという点では大切な意味のある空間ではあったと思うし、人との交流も大事だった。

そういう影響を与え合う場所が大学という形以外にも、社会に制作が出来る『集合場所』がもっとあれば良いのになと思う。


nagahama-art-labo-(★8)
(生徒さんの作品。)


松野さんふきだし

現代的な「ネットを介して」ではなく、アナログに面と向かって接しながら、人と人の間にものづくりがある場所があれば。少しは社会との接点についても考えやすい、かもしれん。 それなら、おれ出来るかもってなって。

ミカミ ふきだし

なるほど!そういう思いがきっかけだったんですね。頭で考えるだけでなく、アナログな作業ができる場所って大事だと思います。

松野さんふきだし

ただプラットフォームに関して言えば、ちゃんと価値を感じてもらうため、認識や知識を一般の人にもっと持って貰えるように行動をしないと、結局商売にならない=お金を得る手段がない。プラットフォームが全然できていかない、作っても無くなってしまう。

だからちゃんと行動して理解を得て、作家は自分の作品や物事に価値観を付随することができて、金銭のやりとりも含めて、社会的に回っていけるようにしていかないといけない。

ここでは、自分の手でものづくりをする体験を通して、そういった理解は進むと思うし、人が生み出す価値についても考えるようになるんじゃないかなと。そんな流れがもっと土台としてどんどん出来てほしい。

ミカミ ふきだし

うんうん。(深くうなずく)


nagahama-art-labo-(35)

松野さんふきだし

・・・といろいろ考えているものの、所詮は僕ひとりの力でできる範囲は限られてる。

でも、僕がこんな風に考えているように、同じようなことを思っている人や僕以上にこのことについて考えてる人が、きっとたくさんいる。自分がそういう思いで動いていたら、いつか共感できる人に出会えるかもしれない。
あと5年か10年かどれだけ掛かるかはわからないけれど、結果として必ず何か起こるはず。

ミカミ ふきだし

行動に移せる人がどんどん増えていったらすごく面白くなっていきそうですね。

松野さんふきだし

そうですね。ぼくも実際どうなっていくかわからないし。

ちなみにアートラボってどんな場所でありたいですか?

松野さん3

松野さんふきだし

ないない!そんなん特にない。いまさらない。(笑)僕の手をもう離れてしまっているので。

どんな場所かはそこに居る人次第で決まると思うので、もうここは僕ひとりの影響でどうこうとかそういう次元じゃない。だからまぁ、勝手に決まっていきますよね。
みんないい人ばかりなのでありがたいです。これ自慢です!

今回の水辺のちいさな芸術祭についてですが

ひらひら
(“水辺のちいさな芸術祭 ひらひら”のフライヤー)


ミカミ ふきだし

ちいさな企画の種をここまで膨らませてくださってありがとうございます!

『水路のある町並みってやっぱり良いよね』って感じてもらえるようなプロジェクトができたらなと思っていたところから、たくさんの手作りTシャツを水上でなびかせるにまで広がるなんて、感激です・・・


水辺のいきもの図鑑
(企画当初のミカミのイメージラフ。)


松野さんふきだし

「あ、これなんかできそうやな」って思ってる人ってたくさんいるやろうし、それを実現させていく動きがどんどん起こっていけば面白いですよね。

他を経由することでまた新しいアイディアがでてきたりもするやろうし、相手にも自分にとっても刺激になるようなプラスアルファが足されていく方が絶対良い。


シルクスクリーン
(シルクスクリーンの原板。)


ミカミ ふきだし

シルクスクリーンって柄も自分でデザインできるんですか?

松野さんふきだし

できます。いろんな焼き付け方法があるんですが、太陽光で露光させて版を作る方法があって。版から全部自分で作る方が、ものづくりの感覚を味わえてきっと楽しいと思うんです。

ミカミ ふきだし

自分で作った作品が実際に日常で使えるって良いですね。自然光で焼付け、楽しそう。 今回の水辺のちいさな芸術祭“ひらひら”、どんなかたちになれば良いなと思いますか?


IMG_8008

松野さんふきだし

今回の展示は芸術作品として最初から観れる人は少ないかもしれないですね。
Tシャツを媒体にするってことは、たぶんそこに先入観もうまれちゃうからね。アート作品っていうより、少し違和感があるなっていう感覚じゃないかなと。

そんな身近にあるものがどう飾られてるか、何が描かれているかで一気に非日常に変わっていく面白さを楽しんでもらえたら…
誰でも知ってるTシャツだからこそ、接しやすい作品だし楽しみようが絶対あるはず。

そういう意味でも出来るだけたくさんの人が見てくれたら良いなと思います。

ミカミ ふきだし

今回はお話ありがとうございました! 素敵な企画にしていきましょう!  

Facebookページにて更新中♪

水辺のちいさな芸術祭 ひらひら

< おしまい >


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